日大アメフト部の一件から、スポーツに関する色々な議論が巻き起こっているのを目にします。
「部活動の持つブラックさ」も、その中の一つだと思います。
休日返上の過酷な練習。
独自の理論による身体への悪影響。
そして何より、それらを強い、逆らうことを絶対に許さない
「ブラック顧問」の存在。
ブラック部活動をブラック部活動たらしめている原因は色々あるんでしょうけれど、中でも最後の
「ブラック顧問」の存在が一番なんじゃないかな、と俺は考えています。
以下は、俺が中学1年の時に体験した実話です。
卓球部に所属していた俺は、ある日、部活を休むことにしました。
理由は
「おばあちゃんが家に来るから」です。
大好きなおばあちゃんが家に来る。
これはもう、俺からすれば「ベンチャーズ来日」どころじゃない騒ぎです(当時テレビ埼玉でよくCMをやっていた)。
というわけで放課後、俺は部活を休む旨を友人に伝え、家に直帰し、とても楽しい時間を過ごしました。
…そこまではよかったんです。
問題は、翌日の部活の時間に起こりました。
始まる前に顧問が部員全員を集め、その真ん中に俺を立たせ、尋問を始めたのです。
「お前、昨日なんで休んだ」
蛇の目をした所ジョージみたいな形相で、顧問が問いかけてきます。
俺は声を振り絞るようにして答えました。
『…おばあちゃんが来ていたからでs
「おばあちゃンン!?」
食い気味で顧問が反応してきました。
激高というより、嘲笑するような口調で。
その後、顧問は他の部員に顔を向け、こう言いました。
「なあお前ら、“そんなこと”で休むか?」
同期も先輩も皆黙っていたけれど、
「この沈黙は同意のヤツですよ先生」みたいな空気を出しています。
その後もネチネチとした尋問は続きましたが、俺は拳を握りしめながらひたすら耐えるしかできませんでした。
しかし心の中は悔しさで溢れかえっています。
ちくしょう。
なんでこんなに怒られなくちゃいけないんだ。
たかが部活を1日休んだだけじゃないか。
しかも
「そんなこと」…?
大好きなおばあちゃんを「そんなこと」呼ばわりしていいくらい、この体育館で卓球をすることっていうのは大事なことなのか?尊い事なのか?
まあ、おばあちゃん来てないんだけど。
そうですよ。
おばあちゃんなんて来てませんよ。
嘘です。嘘。完全な嘘。おばあちゃん1ミリも我が家に足を踏み入れてません。
ただただ休みたいから休んだんです。
と言っても、実際に楽しい時間は過ごしましたよ。ずっと『タクティクスオウガ』やってましたから。
…いやいやいや。
だからって、この場合の俺が100%間違ってるっていうのは違うでしょう。
そりゃ嘘ついたのはダメですよ。
「おばあちゃんが来るという嘘をついて部活を休んだたこと」についての尋問なら俺も納得します。それは嘘をついた俺が100%悪い。甘んじて火あぶりにされましょう。
ただ、コイツはずっと
「おばあちゃんが来ると言って部活を休んだこと」について怒ってるんです。それについてはこっちも怒っていいじゃないですか。コイツが俺の抱くおばあちゃんへの思いを否定しているのは事実なんですから。俺の話が事実じゃないだけで。
それから色々あって、結局部活は辞めました。
まあ実際のところ特に色々は無かったんですが、面倒くさいから辞めました。
辞める時も顧問はネチネチと言ってきましたが、最早どうでもいいことでした。
これが、中学時代に体験した一部始終です。
もし、これを読んでいる学生の中で、ブラック部活動に苦しんでいる人がいたら。
自らの体験を踏まえ、俺はこう言いたい。
「辞める」というのも一つの手段なんだ、と。
いつまでも集団の中で苦しむ必要はないんだ。
君の居場所はそこだけじゃない。他に楽しいことはいっぱいある。スーパーファミコンとか。
そしてもし、これを読んでいる先生の中で、ブラック生徒に手を焼いている人がいたら。
嘘をつき部活を休み、問い詰めたら心の中で屁理屈をこねる。陰では教師をコイツ呼ばわりする。そんな生徒を受け持つ先生がいたら。
自らの体験を踏まえ、俺はこう言いたい。
ご愁傷様です。