バッグの中から1枚のプリクラが出てきた。男女4人が仲良さそうに映っている。
ああ、思い出すある初夏の昼下がり…。
あの日の俺は、早足で新宿駅の構内を歩いていたんだ。
このままだと電車に乗り遅れちゃうかな…なんて考えながら。
その時、そんな俺の胸の奥にある感情が芽生えたんだ。
「のど渇いた…」
だから俺は電車を諦め、売店に立ち寄ったんだ。
初めて彼女と出会い、言葉を交わしたのは確かあの時。
「150円になります」
「あ、じゃあ200円で」
思い出す度に他愛もない会話だったなって思うよ。今の俺なら彼女に何て言ってあげられたのかなあ…?
すれ違う人々の装いに近付いてくる夏を実感しながら、汗をかいたペットボトルに口をつける。
その時ふと下を向いたら落ちていたのがこのプリクラ。思わず拾っちゃったけどホントこれ誰なんだろう。